ふぞろいなふたごは幼なじみを嗜む
そのシーンが流れているときの考えごとと涼くんのセリフがつながって、おかげで大事なことを思い出した。
「応援してくれなくていいよ。わたし、恭くんとはこれからも幼なじみでいるって決めたから」
歩くスピードを少し速めて涼くんの前に躍り出たわたしは、そう宣言した。
「仮に恭くんと付き合えたとしても……仮だよ? あくまで仮だからね。わたしは恭くんがラブシーンを演じるのを、たとえ見なかったとしても耐えられない。だって、いやじゃん。仕事だったとしても、彼氏が自分以外の人とキスするの。そうやって割りきるの。この先ずっと恭くんにモヤモヤを抱えるくらいなら、幼なじみでいたほうがマシって、映画を観て思ったんだ」
「俺らが観たのってそういう映画だったっけ?」
「そこはツッコむところじゃないよ」
振り返って笑顔を見せれば、涼くんも申し訳程度に笑みを見せてくれた。
そこからはしばらく縦に並んで歩き、駅を目指す。
「もし絢音が、本当に恭花と幼なじみを続けるとして」
「うん」
「俺に望みはある?」
そんな問いかけが届いて、足を止めて振り返った。