ふぞろいなふたごは幼なじみを嗜む

涼くんも立ち止まり、ちょっと距離を置いて向かいあうわたしたち。


「あるよ。わたしが次にだれを好きになるかわからないし」

「だったら──」


涼くんの視線が横に動いて、なにかを一瞥した。


ちょうどわたしたちが立ち止まっているところは、僕好きの新シリーズスタートを告知する駅ポスターの真正面だった。


「恭花がこれに出てるあいだ、俺たちもふりをしようか」


涼くんのまっすぐな言葉が耳を貫いて、心までクリアな状態でたどり着く。


大きなポスター。涼くんを見ていても視界に入ってくるのに、その一瞬だけまわりの景色が消えたような気がした。


「手つないだりハグしたり、だっけ？　恭花が番組ですることを俺とすればいい。ちょっとくらい恭花を妬かせて、焦らせて、いつでも応援してくれるわけじゃないって教えてやれよ」

「妬くかなぁ」

「余裕そうに見せて、あいつも所詮は俺と同じだよ」


それ、まえにも聞いた。
涼くんの恭くん評価は正直、当てにならない。