ふぞろいなふたごは幼なじみを嗜む
「言いたいことはわかったけど、でも、涼くんはそれでいいの?」
涼くんの提案は自分を利用しろと言っているようなもので、涼くんにはなんのメリットもない。
自分で自分を追いこんでいるとしか思えなくて、素直に疑問を呈したら涼くんが歩み寄ってきた。
不敵な笑みをその口元に作り、わたしの鼻をつまんでくる。
「俺の心配してる場合じゃなくね。俺にとってはむしろチャンスなんだよ。絢音がもう俺しか見えなくなるくらい、ぐちゃぐちゃに溶かしてやる気満々だから」
涼くんの強がりな照れかくしに、不覚にも胸がうずいた。
さらに、わたしの手をとって歩きだした涼くんの顔が耳まで真っ赤で、ときめくどころか目を奪われてしまった。
恭くんを妬かせたい気持ちがまったくないと言ったら嘘になる。
けれど、それ以上に、できるならこのかわいい生き物の優しい気持ちに応えたい。
……なんて思ってしまった。