ふぞろいなふたごは幼なじみを嗜む
*涼花*
あれは、両親が離婚する少しまえのことだった。
サッカー部の友達とだべって、帰るのが遅くなった放課後。
くつ箱でくつを履きかえていると、絢音の外ぐつがまだあることに気づき、友達を先に帰らせて俺だけ教室に戻った。
どうして戻ろうと思ったのかは覚えてないけど、まあたぶん、一緒に帰ってやるかとかそんなことを思ったのだろう。
西日に照らされた放課後の教室には絢音と恭花のふたりが残っていて、絢音は机に伏せるようにして眠っているようだった。
恭花はそんな絢音の向かいに座り、いつくしむような目で見つめながら頭を撫でていた。
『絢音。好きだよ』
俺はそのときに初めて、ふたりが両想いであることを知った。
映画から帰った日の夜。
絢音の兄貴の部屋にある漫画につい時間も忘れるほど夢中になって、気分転換に部屋を出たら、ダイニングテーブルに伏せて眠る絢音を見つけた。
ぺちんぺちんと絢音の頬を軽くたたくけど、起きる気配なし。
そういやこいつ、昔から一度寝るとなかなか起きなかったっけ。