ふぞろいなふたごは幼なじみを嗜む
相良恭平は恭くんの芸名で、S地区は若者の街と呼ばれている歓楽街。
昼はふつうの街だけど、陽が落ちると一気に物騒な街へと変貌するので、とくに未成年は注意喚起されている。
投稿時間から、相良恭平が夜の時間帯に目撃されていることがわかった。
「まだそこまで投稿数が多くないから注目されてないけど、このまま放っておくと本当に週刊誌に載るかもしれない」
「そんな……。だってこの目撃情報、恭くんじゃないじゃん」
金髪の部分だけでわかった。
みんなが目撃したのは恭くんじゃなくて、双子の弟の涼くんだ。
涼くんは家を出ていったあと、突然、髪を金色にして登校してきた。
当然、先生からソッコーで指導が入ったけれど、無視。
やがてわずらわしくなったのか不登校になった。
卒業式の日にひさしぶりに来たかと思えば、すっかり不良の仲間入りしていた。
最後に並んだふたりを見たのはそのときだけど、小さい頃から両親ですら見分けがつかないほどそっくりだった。
あれ以来、涼くんとは会っていない。
でも、この目撃情報たちが涼くんを指し示していることは明白だ。