ふぞろいなふたごは幼なじみを嗜む
……なんだよ。あんなに行きたくなさそうに悪態ついてたのに。結局、わたしに合わせてくれるんだ。
「ひねくれ者」
「うるせ。生まれつきだ」
ぼそっとつぶやいた言葉は、しっかり涼くんの耳に届いていたらしい。
しかも、ひねくれ者の自覚ありときた。
すぐに出るつもりがあったなら、最初から「どこまでも付き合うよ」と言ってくれたほうが気分がいいのに、なんでいちいち落としてから上げるような駆け引きをするんだろう。
だから、わたしなんかに「ひねくれ者」って言われちゃうんだよ。
わたしもわたしで、さっきから口もとがひとりでにゆるもうとして……なんて単純なの。
素直じゃないのを知っているから、涼くんの優しさを見つけるとグッとくるんだ。
成功だよ。涼くんの駆け引きは成功してる。
飲み干されたグラスの氷がカランと音を立てるのが、妙にはっきりと耳の奥で聞こえた。
「さ、行こっか」
隣の椅子に置いていたバッグを持って、立ちあがる。