ふぞろいなふたごは幼なじみを嗜む
「涼花に迷惑がかかると思って双子の存在を公表してこなかったけど、このままおれの芸能活動に支障をきたすなら、双子だって公表しようかと思ってる。絢音はどう思う?」
「でも、公表したらしたで、今度は涼くんの素行問題で恭くんが責任をとるはめになるかもしれないよね?」
身内の悪行のせいで真面目にがんばっていた人が割を食う、とはよく聞く話。
「それは、そうだね。でも、目情を放っておいてもどのみち同じことになるなら、みんなが見たのは双子の弟ですって言うしか……」
「恭くん、待って。わたしに良い考えがあるの。どうにもならなかったら事務所に相談しよう。でも、どうにもならないってなるまで、もう少し待ってくれる?」
「良い考えって?」
「それは秘密。心配しないで。わたしが恭くんの夢を守るよ!」
「絢音……」
恭くんの目が唖然としたようにくっと開かれた、かと思えば。
「ありがとう!」
ガバッと抱きついてきた。