ふぞろいなふたごは幼なじみを嗜む

*恭花*



「昨日の僕好き、観たよ」


今日は行く先々でそんな言葉をかけられる。

学校でもそうだし、午後からの現場でもそう。


僕好きの知名度は知っていたつもりだったけど、まさかここまでとは思わなかった。

本当に人気の番組なんだな。


恭平(きょーへー)、見て見て!」


撮影の合間にパイプ椅子で休憩していると、うしろから望愛(もあ)が抱きついてきた。

見てと言って、おれにスマホの画面を掲げてくる。


「スタッフさんにもらったんだぁ。きょーへーにも送ってあげるねぇ」


画面には、たった今までしていた撮影のオフショット写真が収められていた。


今日は僕好きメンバーでの撮影だ。

インタビューと写真がインターネットの記事に載るらしい。


すでに本放送の撮影は終わっているので、ひさしぶりの集結とあってか撮影は大いに盛りあがっている。


まだ、だれとだれが付き合うかは、ひみつのはずなんだけど……。


「おれはいらない。ていうか、離れて。バレるだろ」


あからさまな望愛の態度に苦言をこぼしつつ、彼女を引き離す。

< 76 / 100 >

この作品をシェア

pagetop