ふぞろいなふたごは幼なじみを嗜む
女優を志す足がかりとして僕好きを利用し、その相手役に、すでに俳優として実績のあるおれを選んだ──と聞かされたのは、撮影の中盤あたり。
『私がほしいのは知名度。きょーへーとカップルになったら、嫌でも注目浴びるもんね』
いつだったか、カメラが回っていないところでそんなセリフを、平然と吐き捨てた望愛の笑顔を今でも忘れない。
望愛の悪魔的とも呼べる計画によって、おれは、彼女とカップルになる道を選ばされた。
でもまあ、それはまだいい。
おれの最大の失敗は……。
「けど、ほんとに大丈夫なの? きょーへーの好きな子」
「大丈夫って?」
「仮にきょーへーの好きな子が、きょーへーを好きだった場合、恋愛リアリティーショーに出るってだけでふつうは発狂モンだよ? なのに、彼女なんか作っちゃってさぁ」
おれの失敗は、絢音のことを望愛にしゃべったことだ。
撮影が終わったあとに望愛からしつこい尋問を受けて、好きな子がいることを話した。