ふぞろいなふたごは幼なじみを嗜む
見たくなかった。
思ってたよりもずっときつい。
でも、そんなふうに心が動いてしまう自分が一番嫌。
動画の途中だったけど、再生を止めてイヤホンをとった。
すると、まるで図ったようなタイミングで、自室のドアを叩く音がした。
振り返ると、なぜか部屋のドアはすでに開いていて、そこに涼くんが寄りかかっていた。
ノックしてから開けたというよりは、わたしが振り返るよりもまえから開いていたといった感じだ。
「うわ! なに勝手に開けてるの!」
だから、つい責めるような言葉がぽろっと口を出た。
涼くんはあからさまに不満げな顔をする。
「変態扱いすんな。何回もノックしたのに返事がなかったから、倒れてんのかと思ったんだよ」
「あ、そうなの、ごめん。なにか用だった?」
「これ」と言って、涼くんは手に持っていた漫画本を見せてきた。
それは、お兄ちゃんが途中まで買って集めていたシリーズで、今はわたしが引き継いで買っている。
「続きってこっちの部屋にある?」
「あるよ。棚に入ってると思う」