ふぞろいなふたごは幼なじみを嗜む
どこに入れたか自信ないけど、たぶん本棚に最新刊まで入ってるはず。
取ってあげようと、立ちあがろうとしたとき。
「いいよ自分で探す」
涼くんが部屋に入ってきて、本棚を探しはじめた。
すぐに見つけたようで「あったあった」とうれしそうに漫画を取り出す──のを、わたしはぼけっと見ていたらしい。
らしい、と気づいたのは、そのあとに涼くんが取った行動にはっとさせられたから。
「ここで読んでいい?」
そう訊くが早いか、棚のそばのベッドへ身を投げた涼くん。
いいよの返事を聞くまえに、漫画を開いて読みはじめてしまった。
あきれた。なんというマイペース人間。
ここ、女子のプライベート空間なんですが。
平然と女子の部屋に入ってベッドに横になれるって、わたしを親戚の子かなにかだと思ってる?
変に意識されても困るけど、わたしをいない者として扱える図々しさはいかがなものか。
ショックを通り越してあきれる。
なにかひと言いってやりたい気分だけど、すでに涼くんは空想世界のなか。
文句を言いそうになるのをぐっと堪えて、体を正面に戻した。