ふぞろいなふたごは幼なじみを嗜む
「ねえ、涼くん」
背もたれにひじをかけながら呼びかける。
「わたしと涼くんのこと、恭くんに話してもいい?」
「なんのこと?」
ようやく視線が漫画からこっちに移って、目が合った。
「わたしが涼くんに告白されて、恋人ごっこしてること。恭くんに話そうかと思う」
「いいけど……」
涼くんの眉根が寄る。
「恋人ごっこってなに。遊んでるみてぇじゃん」
「うわ、涼くんは“ごっこ”に偏見あるタイプだ」
「は? 偏見もなにもねぇだろ、ごっこ遊びに」
「あのねぇ。子どもにとってごっこ遊びは、本気と書いてマジと読むんだから。わたしだって本気よ?」
それに対して、おまえは子どもなのか、というツッコミが入ったけど無視した。
「でも、“ごっこ”じゃあややこしいから、お試しでお付き合い中ってことにしとくか」
そうつぶやきつつ、体の向きを机側に戻す。
「なんで急に?」
との質問が届いたので、背中越しに答えた。
「うーん……。なんていうか、隠れてコソコソするのは意味ないのかなと思って」
いいかげん次を見据えなくちゃ、と思った。