ふぞろいなふたごは幼なじみを嗜む
僕好きに出演中の恭くんを見ただけでモヤモヤしてしまうのは、いまだ心が尾を引いている証拠。
幼なじみでいると決めたのに、まだ中途半端に揺れている。
次に進みたいのに……。
だったらいっそ、覚悟を本人に伝えてしまったらどうだろう。
涼くんに告白されて向きあうつもりだ、と。
恭くんからしてみれば「好きにしたら?」って話だろうけど、それを好きな人に伝えてしまった瞬間にわたしはもう後戻りができなくなる。
涼くんと向きあうと決めた以上、恭くんには戻れない。戻らない。
さっさと、この恋心とおさらばしなくちゃ。
「ふーん。まあいいけど」
涼くんはそれ以上、深くは聞いてこなかった。
振り向くと、また漫画を読みはじめている。
と、そのとき。
ドアをノックする音が届いた。
「絢音、ちょっといいー?」
わたしが返事をするよりまえにドアが開いて、お母さんが部屋に入ってきた。
「涼くんもいたの。悪いんだけど、この小包を出してきてくれない? すぐそこのコンビニでいいから」
この小包と言って、手に持っていた段ボール箱を渡された。