ふぞろいなふたごは幼なじみを嗜む

片手では持ちにくそうだけど、両手なら楽々と持てるサイズの段ボール箱。

依頼主はお母さんの名前で、あて先はお母さんが働く会社だった。


「えぇ……」


面倒くさいなぁ……と思いつつも「お母さんはこれから夕飯の仕度に入るから」と、夜ご飯を人質にとられてしまったので、わたしに拒否権はもとよりなかった。


しょーがない。すぐ行って、すぐ帰ってこよう。


コンビニで買いたいもんあるからと、涼くんもついてきてくれることになって、ふたりで家を出た。



「それ貸せ」


小包を両手でしっかり抱えてエレベーターが来るのを待っていると、涼くんがそっけない物言いで言ってきた。

どうやら、小包を持ってくれるつもりらしい。


「平気だよこのくらい。そんなに重くないし」

「重くないなら俺が持ってもいいだろ」


結局、涼くんは小包を奪いとってしまった。

わたしと違って、腰を支えに片手で持つ。

まあ、だれが持ってもいいんだけど。

奪いとるほど頑固になることもないのになって……。

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