ふぞろいなふたごは幼なじみを嗜む

絡んだのは視線だけじゃない。

まるで付き合いたての男女のように、優しくつながれた手。


恋人ステップとしてはまだ第一段階にすぎないのに、すごく大きな一歩を踏み出したような、落ちつかない気分になってくる。


もしかして、涼くん……手をつなぎたくて、小包を奪ったの?

わたしの手が空くように。


「ふっ」


そう考えたら、思わず失笑してしまった。


「なんだよ」

「手つなぎたかったんなら、最初からそう言えばいいのに」


貸せなんてひと言で済ませないで、手をつぎたいから俺が持つよって。


そんなかわいいことを言われたら、わたしだって快く小包を渡したのに。

まったく回りくどいんだから。


なんて、涼くんがそんなことを言うのは想像できないんだけど──。


「ん。そうだな」

「え、なになに。涼くん、すごい素直じゃん!」

「俺はときどき素直だよ」

「そうかなぁ?」

「そうだよ」


たまに、の間違いじゃない?

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