ミーコの願い事
私は人が苦手です
ミーコが居なくなってから数年が経ち、私と杉田さんは結婚をし子供を授かりました。
授かった子供は女の子で、名前は、私の一文字と杉田さんの名前、恵さんの文字を合わせ、美恵(ミエ)と名付けました。
生まれる当初はミーコの生まれ変わりじゃないかと互いが話し、伝えられなかった愛情をそそいでいこうと考えていましたが、生まれてからはその子がミーコで有ってもそうで無くても、精一杯の愛を伝えようと私達は誓いました。
更に数年が経ち、周りの環境もずいぶん変わりました。
会社では、一時期デザイン担当にもなりましたが、社長が引退なさったことで専務が社長になり、森川さんが専務になりました。
それを機会に私も進んで、事務の業務に戻ることにしました。
そのことは私や会社にとっても、一番良いことだと考えた結果です。
デザインの仕事も、今ではパソコンで作成するようになりましたが、みなさん器用に使いこなしています。
お昼の留守番電話に切り替える光景は、引き続き専務……いえ新社長が行っています。
私達の暮らしでは、今まで恵さんの住むアパートで暮らしていたのですが、美恵も大きくなったので御親戚の方から紹介された、少し大きめのアパートに引っ越すことになりました。
そのアパートに決めた理由は、紹介ということで安くお借り出来ることと、そこは昔私が住んでいたアパートに近かったことです。
ミーコと過ごした街並み。
少しでも思い出の場所を、選んでいたのかもしれません。
今日はそのお引っ越しの日です。
風も優しく、暖かな日差しが心地良く感じ、絶好の引っ越し日和です。
「お母さんのその中、何が入っているの」
移動するトラックの中、私の抱える紙の箱に美恵が不思議がって聞いてきました。
「お母さんの宝物が入っているのよ」
箱の中には母子手帳と、三人の写真、そしてあの黒いノートが入っていました。
最後のページにはあの時のまま、沢山のお花の中で手をつないでいる三人が描かれています。
親戚の方も朝から手伝ってくれているので、部屋に家具を運び入れるのに、さほど時間はかかりませんでした。
家具の設置など終わると、親戚の方が話しました。
「今日辺りは桜も綺麗だから、家族で見に行くと良いよ」
そう私達に気を使い、お蕎麦を食べると直ぐに帰っていきました。
大体の食器などを片付けた後、時間が持てた私達は、台公園に散歩することにしました。
桜の咲く今の季節は、台公園に訪れる人も多くにぎわっていると思われます。
私達の目的は、ミーコの好きだった、あの花壇の場所です。
あの日以来、私達は避けるように訪れることはありませんでしたが、時間が経過したことによる心の変化でしょうか。
美恵にも以前からその場所の話をしていたので、とても楽しみにしています。
アパートから坂を下り、細くくねくねした道を通ります。
「ねえ、お母さん。美恵、疲れたー」
子供には公園までの道のりが遠いいようで、途中で恵さんに抱っこしてもらっています。
小さなトンネルをくぐり抜けると、三両編成の電車が、ゆっくり前を通り過ぎていきます。
「やっぱり、素敵な道」
久しぶりに見る景色は、輝いて見えました。
時代の流れでしょうか? あの変わった形の電車は近代的な形に変わっています。
授かった子供は女の子で、名前は、私の一文字と杉田さんの名前、恵さんの文字を合わせ、美恵(ミエ)と名付けました。
生まれる当初はミーコの生まれ変わりじゃないかと互いが話し、伝えられなかった愛情をそそいでいこうと考えていましたが、生まれてからはその子がミーコで有ってもそうで無くても、精一杯の愛を伝えようと私達は誓いました。
更に数年が経ち、周りの環境もずいぶん変わりました。
会社では、一時期デザイン担当にもなりましたが、社長が引退なさったことで専務が社長になり、森川さんが専務になりました。
それを機会に私も進んで、事務の業務に戻ることにしました。
そのことは私や会社にとっても、一番良いことだと考えた結果です。
デザインの仕事も、今ではパソコンで作成するようになりましたが、みなさん器用に使いこなしています。
お昼の留守番電話に切り替える光景は、引き続き専務……いえ新社長が行っています。
私達の暮らしでは、今まで恵さんの住むアパートで暮らしていたのですが、美恵も大きくなったので御親戚の方から紹介された、少し大きめのアパートに引っ越すことになりました。
そのアパートに決めた理由は、紹介ということで安くお借り出来ることと、そこは昔私が住んでいたアパートに近かったことです。
ミーコと過ごした街並み。
少しでも思い出の場所を、選んでいたのかもしれません。
今日はそのお引っ越しの日です。
風も優しく、暖かな日差しが心地良く感じ、絶好の引っ越し日和です。
「お母さんのその中、何が入っているの」
移動するトラックの中、私の抱える紙の箱に美恵が不思議がって聞いてきました。
「お母さんの宝物が入っているのよ」
箱の中には母子手帳と、三人の写真、そしてあの黒いノートが入っていました。
最後のページにはあの時のまま、沢山のお花の中で手をつないでいる三人が描かれています。
親戚の方も朝から手伝ってくれているので、部屋に家具を運び入れるのに、さほど時間はかかりませんでした。
家具の設置など終わると、親戚の方が話しました。
「今日辺りは桜も綺麗だから、家族で見に行くと良いよ」
そう私達に気を使い、お蕎麦を食べると直ぐに帰っていきました。
大体の食器などを片付けた後、時間が持てた私達は、台公園に散歩することにしました。
桜の咲く今の季節は、台公園に訪れる人も多くにぎわっていると思われます。
私達の目的は、ミーコの好きだった、あの花壇の場所です。
あの日以来、私達は避けるように訪れることはありませんでしたが、時間が経過したことによる心の変化でしょうか。
美恵にも以前からその場所の話をしていたので、とても楽しみにしています。
アパートから坂を下り、細くくねくねした道を通ります。
「ねえ、お母さん。美恵、疲れたー」
子供には公園までの道のりが遠いいようで、途中で恵さんに抱っこしてもらっています。
小さなトンネルをくぐり抜けると、三両編成の電車が、ゆっくり前を通り過ぎていきます。
「やっぱり、素敵な道」
久しぶりに見る景色は、輝いて見えました。
時代の流れでしょうか? あの変わった形の電車は近代的な形に変わっています。