ミーコの願い事
　翌日、目を覚ますと、昨日の出来事を確認するため、ノートの中を覗き込んでいました。
　ノートの中ではスヤスヤと寝ている、ミーコが居ます。
　安心しきったその寝顔は、見ているだけで幸せな気持ちにさせてくれます。

　しばらくすると、視線に気付いたのか、ミーコは目を覚まし私のことを見つめていました。

　寝起きを楽しんでいるかのように、優しい表情で寝転んだまま、時折恥ずかしそうに顔を隠します。
　ノートの中に、改めて朝食と昼食分の食事を描き足します。

「会社に行くけど、一人でも大丈夫？」

　その言葉に無言のまま頷いてくれたので、私はノートを閉じて会社へ出かけました。

　
　この不思議な出来事を、もし私以外の誰かが経験したのなら、仲の良い友人知人に相談していると思います。
　残念ながら私は友人知人も居ませんし、相談しょうとも思いませんでした。
　ミーコの存在を、誰にも知られてはいけない。
　

　あの子は私が守らなければ。そんな気持ちが生まれています。
　ただ森川さんのあの言葉。不思議なノートと言う意味は、このノートに魔法のような力を予感して居たのでしょうか？　
　私の中で何かが揺れ動いているようでした。
< 15 / 115 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop