ミーコの願い事

知らなかった一面

 昨日の一軒からみんなに顔を合わすのが照れくさく、以前とは違う理由で直視できなくなっていました。
 
 可笑しいことがあり、思い出し笑いをしてしまったことを話すと、皆さんは納得してくれましたが、私のイメージとは違う行動にどう思ったのか気になります。
 
 今日はデザイン部の周りに人が集まり、話をしていました。
 なにやら楽しそうに、時折笑い声も聞こえてきます。
 
 皆が席につき始めると、その中の一人。高木さんが私の方に近づいてきました。

「田中さん今年のボーリング大会、今週末なんだけど大丈夫?」

 その話を聞き、私は一年前のこの時期を、思い出していました。
 この会社では毎年秋になると、親睦行事でボーリング大会を開くそうです。
 去年の私は、仕事以外で会社の人といることを拒否し、用事が有ると断っていました。

 元々ボーリングには興味を持ていなかったのですが、今年は参加し、その光景を診てみたいと感じていました。
 森川さんとも、前より会話ができているし、ひょっとしたら杉田さんとも、会話する機会があるかもしれません。

 私の頭の中では、杉田さんと仲良くボーリングする風景を思い描きそんなことを考えていました。

「どう? 参加出来そう?」

 ですが、断ることに慣れてしまったせいか、参加する意思表示ができません。

「いえ、私は」

 自分でも違うと思いながらも、ついつい後ろ向きな言葉に繋がってしまいます。
 情けないと感じながら、下を向きました。

 夏祭りには参加したから、ボーリング大会にも参加するのは、変に思われるのでしょうか? 
 
 急に会社行事に参加し始めた理由が、杉田さんだと噂されても、恥ずかしいし。

 
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