ミーコの願い事
 我に帰った思いでした。

 惨めな自分を噛みしめている場合ではない。今日は体を休めつつも仕事をしなければ。

 私は会社を休んでしまった罪滅ぼしの気持ちもあり、遊園地のキャラクターを考えることにしました。
 別のノートを取り出し、チラシに描かれたキャラクターの友達を考えます。

「友達、友達、友達……」

 目を閉じ、心の中で何回も考えました。
 描き進めていくと、次々とキャラクター達が生まれていきます。

 優しい子、おしゃれな子、キレイな子、ワンパクな子、自分でも不思議な位、スラスラ発想が生まれ描き上がっていきます。

 描き上がるその子達は、何故か大事な存在に思えました。
 私はいつの間にか会社の人達をモデルに、キャラクターを描いていました。

 翌日、多少体の節々が筋肉痛のように痛みを感じましたが、熱も平熱に戻ったので会社に出社することが出来ました。
 ドキドキしながら社内を見渡すと、杉田さんはすでに営業先に出かけています。
 突然あの場から走り出したことに対する謝罪が、先延ばしになったことで不安は大きくなっていました。

「おはよう。大丈夫?」

 森川さんが私に気付き、声をかけてくれます。

「おはようございます。昨日はすみませんでした」

「うんうん……あのね」

 森川さんは何か言いづらそうに言葉を止めると、周りを見渡し、小声で話してくれました。

「田中さんに謝らねきゃいけないことがあって」

 私と別れ一人戻った杉田さんは、森川さんに相談したそうです。
 
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