ミーコの願い事

　ノートに描かれた女の子が動く仕組みを私に聞いたら、走って帰ってしまったと。
　何か気に触り、怒らせてしまったのでは無いかと、言う内容でした。

　森川さんも、杉田さんに見えることに驚き考えた結果、不思議なノートの話をしたそうです。
　私はその話を聞き、やはり誤解を招き杉田さんに不安を与えてしまっていたことを、理解しました。

「ごめんね、ひょっとしたら杉田くんが、田中さんの力になってくれるんじゃ無いかと思って」

「いえ、私がびっくりして、説明もせずに走って帰てしまったので……今日はそのことで謝ろうと思っていました」

　その後も森川さんと私は、何故杉田さんに見えるのか、考えていましたが、始業時刻に近づくき、次々と会社に出社してきます。

「おはよう、美代子。大丈夫？」

　石井さん、桜井さん、鈴野さん、みなさんが心配し声をかけてくれます。

「田中さんおはよう、風邪だって大丈夫？」

　社長と専務も、声をかけてくれます。

「昨日はすみませんでした。熱も下がったので大丈夫です」

　謝罪の言葉をかけながらも、専務の顔が確認できると、昨日描いた遊園地のキャラクターを見ていただこうと、緊張が走りました。
　カバンからキャラクターが描かれた原案を取り出し、専務の座る席に近づきます。

「専務、遊園地のキャラクターを考えたのですが」

　専務は少し喜ぶような驚く仕草で、受け取り見始めました。
　原案に描かれたキャラクターは、最終的に二匹のキャラクターに決まりました。
　一匹は少し小太りでブチガラの男の子、もう一匹は目付きの悪い黒猫の女の子です。

「うーん」

　専務は凄く小さな声を発しながら、長い時間考えています。
　駄目だったかなっと思いながら、賛否判定の言葉を体に力が入りながら待っていました。

「良いんじゃない」

　突然隣から声がしたので横を見ると、社長が覗き込みながら話していました。
　いつの間にか居たことに驚いていると、今度は後ろからも声が聞こえます。