あきらめないで、生きること。

ホームルームと始業式を終えて、早くも帰りの時間。

わたしたちはまた5人で集まって一緒に帰った。

外に出ると、グラウンドの桜が見事に満開になっていた。

あまりにもキレイで、わたしたちは思わず立ち止まる。

「ねぇねぇ、ちょっとお花見してこうよ!」

雪ちゃんが嬉しそうにグラウンドに走っていく。

わたしたちも雪ちゃんの後に続いて、誰もいないグラウンドへ。

風に舞って、はらはらと落ちる桜の花びら。

「花びらつかまえられない~」

風に舞う花びらを子供みたいにつかまえようとする雪ちゃん。

「春だね~」

しみじみつぶやく秋穂ちゃんとすみれちゃん。

黙ってみんなの様子を見ている春花ちゃん。

5人で、学校の校庭でお花見。

桜吹雪の中、友達と制服姿で笑い合っている。

それはまるでドラマのワンシーンみたいだった。

こんな風に5人で心から笑い合えたのは、この日が最後だった。
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