あきらめないで、生きること。

「秋穂ちゃんがあんなにハッキリ言うなんて思わなかったよ」

「雪ちゃんかなり落ち込んでたよね」

色々話していたら、あっというまに予鈴が鳴
った。

教室へ戻ろうと廊下を春花ちゃんと歩いていたら、偶然部室から戻ってきたらしい雪ちゃんに会った。

雪ちゃんは、目が合うとわたしと春花ちゃんのところへ来て、すがるように言った。

「ねぇ…わたし、どうしたらいいのかまだよくわからないけど、頑張るから…」

昨日と同じセリフ。

「雪ちゃん…」

必死な姿に、また1年生の時のわたしとダブって胸が痛む。

一方、春花ちゃんは無言のまま憮然とした表情で窓の外の景色を見つめている。

全く雪ちゃんと目を合わせようとしない。

……怒ってる。

わたしは、初めて春花ちゃんが怒っているところを見た。

“わたしも、もう雪ちゃんとはつきあえない”と言いたいのが、その態度でわかった。
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