あきらめないで、生きること。
「萌ちゃん、わたしに精神的に大人になって欲しいって言ってたけど、大人になるってどういうこと? わたしにはやっぱりわからないよ」
「………」
多分、何を話しても雪ちゃんには伝わらないだろうと思った。
わたし達と離れてからの雪ちゃんの様子を見てきたけど、1年生の時のわたしと決定的に違うのは、雪ちゃんにはある程度話せる親しい子が結構いるということ。
たとえうわべだけのつきあいで、相手が本当は雪ちゃんと仲良くするのを嫌だと思っているかもしれなくても、わたしみたいに完全に孤立している感じではなかった。
それに、わたし達が直してほしいと思っているところを直そうと努力している様子もなく、開き直っているだけのように見えた。
「自分の欠点と向き合うのは嫌かもしれないけど、もっと真剣に自分と向き合って考えたら? わたしは1年生の時に、ホントにひとりぼっちになって自分の欠点と向き合ってきたんだ。雪ちゃんは本当にひとりになったことないからそうやって甘えていられるんだよ」