あきらめないで、生きること。
今まではひとりになる辛さを知っているからと雪ちゃんの気持ちに寄り添っていたわたしも、「甘えないで」という気持ちが強くなっていた。
「そんなこと言われたって、わたしは萌ちゃんみたいに強くないもん……」
雪ちゃんはついに泣き出してしまった。
近くにいた子達が何事かとわたしたちを見ている。
わたしだって強いわけじゃない。
でも、負けたくなかったから必死に変わる努力をして、新しい人間関係を築いた。
誰だって、自分の弱さや欠点とは向き合いたくない。
自分自身にちゃんと正面から向き合う勇気を雪ちゃんに持って欲しかった。
でも、きっと雪ちゃんにはわかってもらえないんだ。
その日を境に、わたしは雪ちゃんと話さなくなった。
* * *
体育祭当日。天気は生憎の曇り空。
わたしは沙織さんを招待して、学校に来てもらっていた。
午前中の競技が終わり、昼休み。
春花ちゃんと秋穂ちゃんに沙織さんを紹介した。
短い時間ではあったけど、食堂で沙織さんとも話が出来て嬉しかった。
そして、午後にはついに3年生の見せ場のダンス。