あきらめないで、生きること。

恥ずかしいとか心配かけたくないという気持ちより、普段の会話として話して聞いてもらうことでストレスを発散させていた。

だから、今回も話をしておこうと思って、口を開いた。

「お母さん。あのね…わたし、今クラスでひとりになってて……」

「うん。ババから聞いたよ。そんなに辛いなら、学校退学する?」

話している途中で、お母さんが言った。

予想していなかった言葉に、わたしは驚いた。

「高校は義務教育じゃないんだし、勉強は学校に行かなくてもいくらでもできるよ」

はっきり言って、お母さんのその言葉は、すごく意外だった。

学校を辞めるという選択は、絶対に許されないと思ってた。

むしろ、『そんなことで負けたらだめ。ちゃんと学校に行きなさい』って言われると思っていた。

退学という言葉を聞いた時、わたしは初めて自分がそこまで追い詰められていることを自覚した。

学校を辞めるという選択肢を考えた時、わたしは不意に中学3年の時のことを思い出した。
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