家庭教師りな

第十一話 修学旅行

電車で痴漢されるりなは怒って痴漢をガン見をしボコボコにする。痴漢はりなが怖くて謝る。
「ご、ごめん! 俺が悪かった! 許してくれ……」
「私は今すごく怒ってるんだ! これだから男なんて……大っ嫌いなんだよ!」
痴漢が怯えて逃げようとする。
「どこにいくんだよ!」
りなは痴漢の急所をけり再起不能にする。そして駅員に引き渡し、りなは帰宅した。

りなは佐藤家でたけしを待ったが、1時間を経過してもたけしは現れなかった。
「これだから男の子なんて!」
りなはたけしに電話をするが返事はなかった。
誰かが玄関を開ける音に気づいて出ていくりな。
「たけし! 今何時だと思って……!」
たけしはボロボロな格好で片手には猫を掴んで入った。
「わーりー、遅くなった……」
「何、その恰好と猫は……?」
「すまん…約束のお金はこの猫を引き渡してからでいいのかな…猫探しをしてて遅くなっちゃった」
「(猫の声)ミャー」
猫は爪でたけしの顔をかき、りなの胸に飛び込んだ。
「いっててー」
りな、猫を抱いて後ろに回転し、片手で顔を隠すし、勘違いだど思い始める。
「なんだ……授業をすっぽかしていたってわけじゃないんだ……(笑い)」
「うん、どうした?」
「なんでもないよ。金は急ぐ必要はないからゆっくり用意してもいいよ」
「え? 本当? ん? りな、なんかいいことでもあった?」
たけしを見るりな。
「ううん……なんでもない! (ニコ)」

猫、りなの部屋で大人しくしている。りな、たけしに勉強を教えている。
「じゃ、今日の授業はここまでね来週までここまでやっといて」
「え? 来週は修学旅行で俺いないよ」
「え? 修学旅行?」
「りなは行かないの?」
りな、鞄から修学旅行の案内紙を出し確認する。
「そうか、もう修学旅行か……すっかり忘れてたわ」
「りなの学校はどこに行く?」
「京都だけど?」
「え? 僕も京都だよ?」
「え? 本当? 私にも見せて」

たけし、りなの修学旅行の案内紙を読む。
「マジか……10月3日から5日まで2泊3日でホテルも同じ……」
「へ~ 偶然だね (ひらめき)あ! じゃ、来週までに宿題やってね。修学旅行でも勉強するわよ」
「え? マジで!? うむむむ…はぁ…わかったよ」
「素直だな」
「これ以上りなを困らせたくないし、これは僕のためにでもあるからね……」
「……ありがとう」

そして修学旅行当日、東京駅で浮かれているなおことちょっと顔が赤くなっているりな。先週の「これ以上りなを困らせたくないし……」たけしの言葉が頭から離れないりなであった。
「男は身勝手な奴だと思ってたけど‥‥‥なんなんだこの気持ちは‥‥‥」
りな、浮かれているなおこを見る。
「なおこさん、どうしたの?」
「いや、実はですね! いや! 何でもないです! お楽しみってことで」
「ん?」
先生、クラスの生徒達を呼ぶ。
「はい! みんな、集合して!」

一方、たいしは佐藤家で健太郎に絵を教えてもらっていた。健太郎たいしの絵を見てほめる。
「うまいじゃん、たいし。正直僕から教えるのはないとおもうんだけどな」
「そんなこと言わないでください。僕は先生の絵を知りたいです」
「まだ絵を描いていないのに?」
「それでもこうやって先生から教わってから新し発想も出ますしだんだん先生の絵がどんな絵なのか見えてきました」
「そうなのか?」
「はい、早く先生の絵が見たいです」
大樹が玄関を叩く。
「健太郎さん? いますか?」
「はい、今、開けます」
「いきなり来てすまない。ここにたいしは来てるか?」
「ええ、いますよ」
「やっぱり……ちょっと邪魔する」
「おい、たいしここには来るなって言ってるでしょう? 早く帰るぞ」
「嫌だ! まだ授業終ってないんだもん!」
「授業だと? 絵で食っていけるわけないって毎回言ってるだろうが! ほら、帰るぞ!」
健太郎に挨拶をする大樹。
「邪魔したな」
「いいえ‥‥‥」
扉が閉まって健太郎は「絵で食っていけるわけない」の言葉に胸に刺さる。
「絵で食っていけるわけがない……か……」
美野里、玄関を開ける。
「ただいま……ってなんで玄関の前に立ってるの?」
美野里が入ってきた。
「……俺、就職しようと思う」

京都に着いた天寺高校の生徒達。自由時間となり、なおこはまさみちを探しにどこかへ行く。りなは京都の案内図を見て決めた顔で金閣寺に向かいキラキラした目で金閣寺を見る。
「おおおお! これが金閣寺か……」
「すごいな……金閣寺‥‥‥!」
となりで興奮して金閣寺を見ているまさみちに気づくりな。
「まさみちくん? なんでここに? まさみちくんも修学旅行?」
「そう、京都人気だね」
なおこ、まさみちを見つけ、走って来る。
「何で金閣寺にいんの?」
「すまん、早く見たくて……」
「(ムカ)そこは『なおこと早く会いたくて』でしょう?」
まさみちの後ろから姿を現するみ。
「久しぶり! なおこちゃん」
「あれ? なんでるみちゃんがここにいるの?」
「私もまさみちと同じ学校なんだもん」
「大阪人が京都にくるな!」

宮本家で家政婦がたけしの部屋で掃除をしている。ゴミ箱の袋を入れ替えてたけしの部屋から出る。袋の中にはたけしの絵が入ってた。ゆりはたけしの絵を見つけて慌てて外へ出た。

清水寺で京都の景色を観ているりな達。たけしはまさみちになぜ京都に修学旅行へ来たのかを聞く。
「は!? 校長先生から京都にしなさいといわれて皆京都に来たのか?」
「そう、うちの校長先生は京都の大ファンでね。生徒たちは大反対したんだけど……」
るみ、校長先生のマネで表現する。
「『京都以外ありえません! 京都は歴史が深く学ぶところが沢山あります!』ってね。でも私はまさみちと一緒ならどこでもついて行くわ」
るみ、まさみちの腕をつかむ。それを見ていたなおこはやきもちになる。
「ちょっと! まさみちから離れて!」
たけし、景色を観に来ないりなを気にする。
「ところで……」
りな、たけしから後ろ10メートル離れて足をふらふらする。
「りなはそこで何をしているの? こっち来なよ」
「いい……私はここでもよく見える……」
「もしかして高い所が苦手だったりする?」
りな、冷たい顔で返事する。
「そうだけど、何か問題でもある?」
「……ないです」
たけしはまさみちに東京に戻る気なのかを聞く。
「まさみち、お父さんとはちゃんと話した?」
「うん、大阪で卒業して、僕は東京で働くことにしたよ」
「私も卒業したら東京でモデルの仕事続けるわ」
「お? るみちゃんモデルの仕事続けるんだ。よかった」
たけし、りなのとなりに行く。気にかけてることを気づくりな。
「来なくていいわよ……」
「ここでもよく見えるでしょう?」
なおこは独り言をつぶやいていた。
「私がいない2ヶ月間、まさみちとるみちゃんは一緒だった」
次の観光地に向かうりなはなおこを呼ぶ。
「なおこさん! 次、行きますよ」

佐藤家の食卓に健太郎と美野里そしてゆりが座っている。
「単刀直入に言います。ここでたけしに絵を教えてるの?」
「はい……」
「(ため息)‥‥‥私の許可なく。何故たけしに絵なんか教えてるんですか!」
「それは……たけしくんが絵を教えてくれって言うから……」
「あなた、なんで弱気になってるの?」
「いや……親の許可なしで教わっているのは事実だし……」
美野里、ゆりに反論し始める。
「あの! たけしのやることはたけし自身が決めることです! 親が口出しするのはやめてもらえますか?」
「何よ! 事実じゃない! 実際、貴女の夫だって絵で生計を立てるわけでもないんじゃない!」
美野里、立ち上がりゆりの顔を殴る。
「な……何をしたの?」
「貴女が息子に何しようと勝手にすればいいわ。でもうちの旦那に口出しするのはやめてもらいます!?」
「な……何よ! あれこれやめなさいって! 先生にでもなったつもり!?」
ゆり、鞄を持ち去る。
「とにかく! りなは家で家庭教師をしてもらうことにしたから! あと旦那に言いつけてやるから覚悟しなさい!」
ゆり、玄関を強く閉める。
「美野里……庇ってくれてありがとう……」
「いや。私、あの女、あった時からなんか腹立って来たのよ」
「どうするの? 仕事。僕のせいでクビになったら……」
深刻そうな顔をする美野里。
「……どうしよう」
猫が食卓に上がり二人を呼ぶ。
「ミャー」

夕方、りなはたけしからの連絡で部屋の番号を知り探しに行った。扉をノックするとたけしはりなを中に入れた。
「本当に来るとは……」
「何か問題でもある?」
「ある。今、うちの生徒はお風呂の時間で今は誰もいないがお風呂の時間が終ったらどうするつもり?」
「普通に勉強をすればいいじゃない」
「え? 他の学校の生徒でしかも女の子が男子の部屋にいたらいろいろまずいでしょう!?」
「何がまずいのよ?」
「何って……そうりゃ……」
「時間がない。早く勉強するわよ」
りなとたけしは勉強をする。その時、予想した時間よりも早く、男子達が扉を開けて中に入る。
「あ~、お風呂気持ちよかった~」
男子達勉強しているりなとたけしを見て立ち止まる。
「え!? もう来たのか?」
「……ってあれ? たけしと……どちら様?」
「初めまして、私は天寺高校の佐藤りなといいます。たけしくんの家庭教師をしていてお邪魔しています」
「あ! 貴女がたけしくんを……」
「ねぇ、おいらにも勉強教えてくれない? たけし、最近成績が良くなったから気になってさ……なるほど、君がね……ねぇ、お願い!」
「いいですよ。部屋にお邪魔してるわけだし」
「おい、ちょっとりな!」
「彼らにはこの部屋を借りてるわけだしこれくらい平気よ」
りなはたけしのルームメイトの男子達に勉強を教えた。
「お! すーげわかりやすい! なるほどな……こうやるのか‥‥‥」
たけしの部屋に遊びに来た他の男子達。
「よー!遊びに来たよ……ってなんで勉強なんかしてるの!? しかも女もいるし!」
「よー。お前らもりなさんに勉強教えてもらえ! すーげわかりやすいよ」
「え? 修学旅行に来てまで勉強はいやだよ」

数時間後。窓の外は夕暮れ時。たけしの部屋は男子達であふれていて、皆りなに勉強を教えてもらっていた。そして私立寺東高校の先生が男子の部屋を見回っていた。
「おい! 男子ども! 皆どこに行ったんだよ! 誰もいねーじゃんよ」
先生の声が聞こえて男子生徒達はりなを隠す。
「やっべ! 先生だ!」
「早くりな先生を隠せ……!」
たけしの部屋を開ける先生。
「ここもか? ‥‥‥ってなんで皆ここで勉強してるんだ?」
男子生徒達は先生に誤魔化す言葉を考える。
「いや、俺成績悪いし……ここでみんなと勉強でもしようと‥‥‥」
「俺も苦手な科目があって……」
「みんな……修学旅行にまで来て勉強するのか……(涙をこぼれる)先生、感動しちゃったよ……よっし! 分からないことがあったら先生にきけよな!」

男子生徒達は早く各自の部屋に戻る。
「あー。もう眠くなってきた。俺ら部屋に戻るは先生」
「あ、俺もー先生どいて」
「おい、こら! なんで今戻るんだ? ここに先生がいるんだぞ? わからないことがあるんじゃないのか?」
男子生徒達の群れに隠れてたけしはりなの手を引いて部屋から出た。たけしの手を意識しながら去っていくりなだった。
「先生にばれなくてよかったな……」
りな、後ろ姿で返事する。
「そうだね……」
「ん? どうした?」
「じ、じゃ! 私、帰るね! お休み!」
「おー。お休み…」
りな、たけしの顔を見ずに部屋へ向かう。
「りな……!」
止まるりな。
「今日、ありがとう」
「別に……やるべきことをしたまでよ」
たけし、りなの顔を覗き込む。
りな、頬を赤らめている。その顔を意外層に見ているたけし。

ゆりは家政婦を呼び、さえ子の部屋にある絵を全部捨て始めた。
「お母さん! 何をするのよ!?」
「うるさい! これもたけしのためなのよ! たけしに邪魔になるのは全部捨てる! ゲームも絵も!」
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