家庭教師りな

第三話 合コンを始めます

りなは部屋でスマホで女性恐怖症を調べていた。見つけた情報の中に「恋で女性恐怖症を治そう」とあるのを見て「使える」と思った。たけしと恋人となり、女性恐怖症を治すことを想像するとたまらなく恥ずかしくなるりなだった。

りなは「恋」のほかにたけしの女性恐怖症を治す方法を考えながら天寺高校へ登校するが効果が出るまでかなり時間がかかると悟り悩み始める。
「どれくらい? 3カ月? 半年? い……1年かかる可能性も……」その時、同級生の相生なおこ(17)が隣に座り、話しかけてくる。
「ねぇ、りなって彼氏いたの? 昨日、りなと男子が歩いてたのクラスの奴が見てたんだって! いたんなら私にも紹介してくれてもいいのに!」りなはいつものことで適当に無視しようとするが、そこでハタとひらめく。「私が自分でたけしの相手をする必要はないんじゃないか?」なおこをたけしにを紹介することにした。

一方、 寺東高校の生徒会長・天草まさみち(17)は職員室で担任からたけしの部屋にプリント届けて、学校に来るように説得をしてほしいと頼まれる。無論、笑顔で引き受けた。職員室から出たまさみちはモデルとして活動している谷崎るみ(17)と出会ってしまう。るみはまさみちを待ち伏せしていて彼を身長が小さいと少しからかうとその反応を見て去っていった。

その日宮本家の玄関でりなとなおことまさみちが偶然出会う。なおこはりなの彼氏がまさみだと勘違いをし、いろいろ質問をするが、まさみちは無反応で中に入った。なおこはクールなまさみちを見て彼に興味を持ち始めた。

たけしの部屋に入るまさみちはたけしにプリントを渡し「いつになったら学校に戻れる?」と心配な感じで聞くがたけしは「わからない…ごめん…」と答える。

りなとなおこはたけしの部屋に向かい、たけしとまさみちを見て怪訝な顔になり「何!? 男が二人? りな…まさか……二股?」と問い詰める。事情の分からないなおこは、なぜかテンションが上がり始める。りなはそんななおこをうっとおしく思い、無理やり落ち着かせた。

りながなおこの腹を叩く姿を見て驚くたけしとまさみち。りなはなおこの手を掴み、たけしの部屋の前に立っているまさみちの前で「どいて」と真顔で言い、まさみちをどかせたけしの部屋に入った。たけしは別れの挨拶をだけしにし、扉を閉めた。

たけしの部屋で床に座っている3人。なおこは男の部屋を見始め、なぜ女がここにと思い始めるたけしはなおこと距離を置く。りなは二人に「今から合コンをはじめます」と宣言。するとなおこは彼が合コンの相手だと察し髪や服装を直す。たけしが女性恐怖症だと事前にりなから聞いていたなおこはたけしと二人で合コンをはじめた。たけしは瞬時に顔が赤くなるが、そんなたけしがかわいいく見えたなおこは思わずほほ笑んだ。りなはたけしに「女性はまずほめる…!」とガイドブックを開き、たけしにアドバイスをする。だが、ますます顔が赤くなるたけしはそのまま気を失った。

たけしと連れだって街へ出たなおこは、積極的に腕を組んでくるが、たけしはますます顔が赤くなり言葉も出ない。ふたりは買い物デートや映画など恋人がすることをしたが、そんなふたりの背後にはりながピッタリくっついてきた。そんなデートだから成果は出なかった。

なおこはデートしたのかなんなのか分からぬまま帰っていった。たけしはなおこに謝った。りなと家路に就いたたけしは凹んでいた。りなは「なおこにだって何かあったでしょう?長所。彼女を見てて本当に気づかなかった?」とたけしに聞くが、たけしは「じゃ、お前はなおこの長所を知ってるのか?」と逆に質問をするが、今日会ったばかりで「…明るい所とか?」「明るい? 万能な言葉だな! なぜ思いつかなかったのか!? クソ!」りなは自分の長所がないかたけしに訊いてみた。すると「じゃ、明るいとか!?」
「他には?」
「え、他?身が小さいことと乱暴ところかな?」
怒り出すりなは力一杯拳を握った。

「それと…誰よりも努力をし、心配をしてくれる所かな…」たけしの言葉を聞くと、今度はりなの顔が赤くなり、恥ずかしさに黙って下を向いてしまう。「どうした? 返事してよ」りなの顔をのぞき込んで問い詰めるたけしに戸惑うりなから返って来たのは鉄拳だった。
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