家庭教師りな

第九話 争い

健太郎に絵を教えてもらうことにし、佐藤家で勉強をするたけし。両親には絵を描くことを隠してた。その間、たけしは絵を描きづつけ絵を描く力も上達していった。健太郎はたけしに「たけしは進学するつもりなの?」と聞くがたけしは迷い始めた。一応、東大に受験することになったが、有名な美大へ行きたいたけし。健太郎は美大へ見学に行ってみることをすすめた。それでたけしはネットで検索をして多摩たま美術大学に行った。武佐々美術大学で生徒達の作品を見ているたけしに内田わたる(42)先生がたけしを見学させてくれた。
「たけしくんは絵を描いてますか?」
「はい、描いてます」
「学校とかで絵を描いてますか?」
「学校じゃく……友達のお父さんに絵を教わっています」
「え? そうなんですか? 先生の名前。聞いてもいいですか?」
「佐藤健太郎さんです」
わたるの顔色が変わった。
「え!? 佐藤健太郎先輩ですか?」
「先輩?」
「はい。僕、ここの卒業生で健太郎さんは私の先輩なんです」

一方、宮本家に帰ってきた大輔はたけしを呼ぶ。ゆりがたけしは佐藤家で勉強中だと伝える。
「たけしに何か用でも?」
「あぁ、たけしを経済学部に進学させようと思ってな」
「さえ子はどうします?」
「我が愛娘ながらも情けない……ほっとけ」
「……」

たけしはわたる先生を佐藤家に連れて来た。わたる先生は健太郎に会えたことを嬉しく挨拶をした。りなと健太郎が夕食を用意し、家族3人とたけしとさえ子、わたる先生はご飯を食べながらたけしの進学の話をした。健太郎はたけしの絵を見せた。
「さすが、先輩……絵を教えるのうまいですね……私も先輩に教わってから上手くなりましたよ。」
「いやいや。そんなことないよ」
「今は絵を描かないですか?」
「あぁ、でもいつか描こうと思う……」
健太郎の言葉を聞いて驚くりな。
「本当なのお父さん?!」
「うん、やっぱり夢を諦めたくないからな……」

宮本家で大輔とゆりはさえ子とたけしを待っていた。
「もう夕方なのにさえ子とたけしはとこへいった?」
たけしとさえ子に電話をするゆり。
「ダメです。二人も電話にも出ません」
「親の電話を出ないなんて! なんて親子なんだ!」

佐藤家でわたる先生はたけしを強く、武佐々美術大学に受験することをすすめした。だが、りなはたけしを東大に受験をすることにしたと説明をする。
「んなもん、東大へ合格させて武佐々美術大学へ入ればいいじゃん!」
「さえ子先輩、どう思います? 宮本の親達が武佐々美術大学へ行くことを許してくれると思いますか?」
「いや。絶対許可は出ないだろうね……私が美大から逃げてから尚更……」
さえ子から大輔の電話がかかってくる。
「あぁ……噂をすれば……父から電話だ」
電話に出るさえ子。
「今どこにいるんだ! たけしを連れて早く来い!」
電話を切るさえ子。
「たけし、帰るぞ」
たけしとさえ子は去る。
「僕も失礼します」
わたるも帰ろうと玄関で靴を履く。わたるを送りとどけるりなと健太郎とゆり。
「先輩、たけしは優秀ですよ。ぜひ今度、僕も呼んでくださいね」
なぜかたけしに執着を持つわたるだった。
「うん……わかった……」
帰ろうとするわたるはりなを冷たい目つきで見て去った。
「お父さん、私、あの人嫌い」
「そうなのか? 昔は礼儀正し後輩だったんだが……まぁ、人は変わるものだからさ……変わってもおかしくはないよ」
美野里、りなと健太郎を呼ぶ。
「りな、あなた。お皿、片付けて」
りなと健太郎はゆりの手伝いに行った。
家に向かい歩くたけしとさえ子。

「姉ちゃん。なんで美術をやめたの?」
「……夢に裏切られた……って言うか……私の実力じゃ……どうにもならないから……」
「夢に裏切られた? どう言う意味?」
「それを言葉で説明するのは難しいな……たけしは私みたいにならないように頑張ってね」
家の玄関の前に着いた二人。
「……お父さん。僕が美術を学ぶこと話してもいいかな……」
「……たけし、結果がどうであれ他所の人が決めることはしないようにね。私が言えることはそれぐらい」
さえ子、玄関の扉を開ける。

放課後、天寺高校の正門に向かうりなは正門に立ってざわざわしてる女子生徒を見ても気にせず正門から出ようどする。
「見てみて。あの制服、 私立寺東高校の制服だよね。あの人、かっこいいな……」
「誰か待っている人でもいるのかな? ねぇ、声かけちゃおっか?」
たけし、りなを見つけて大声でりなを呼ぶ。
「おい! りな!」
すると、たけしを見ていた女子生徒たちがりなを注目し始めた。そして女子生徒たちはりなのところへ行き、二人のことを聞き始める。
「ねぇ、あの人とどう言う関係?」
「名前はなんて言うの?」
「もしかしてつきあってるんですか? きゃー!」
困った顔をしてるりな。たけしはりなの手首を掴み正門から逃げた。
「何なんだここの女子たちは……」
「いや、何でここに来たの? 今日、家庭教師の日じゃないよね?」
「ちょっと、聞きたいことがあってさ……」
「聞きたいこと?」
「お前は俺が武佐々美術大学に受験を受けることをどう思ってさ……」
「……私は君の親に頼まれて東大へ合格させることを目標にしている……」
「あぁ……知っている……」
「なら、聞くまでもないでしょ?」
りな、歩き始める。
「私には他に道がない……」
少し、顔が暗くなるたけしの携帯にわたる先生から連絡が来る。

わたる先生の呼び出しに武佐々美術大学に行ったたけし。わたる先生はたけしを体験授業させるため、教室へ連れて行く。

わたるとたけしは誰もいない教室へ入る。教室の中の美術の道具や絵を見てたけしは感心を持つことになる。
「すごい……ここが美大の教室か……」
「何か書いてみる?」
「いいんですか?」
「もちろん! 君は僕の推薦だからね! 僕が教えてやるよ」
たいしが教室の中に入りわたる先生に挨拶をする。
「わたる先生! こんにちは!」
「おう、たいしくん。こんにちは今日も早くきたね。まだ、30分前なのに」
「先に準備をしようと思いまして早くきました!」
たいしはたけしを見て明るい顔が180度変わる。
「え、誰ですか? その人?」
「あぁ、紹介するよ。俺の推薦できた。宮本たけしくんだ」
「宮本たけしです。よろしくお願いします」
「佐倉たいしです……」
「今日の授業に参加するつもりで呼んだ。彼には才能があるよ」
「へぇ……まだ、オープンキャンパスもしてないのにですか?」
「俺の推薦だからな。これは俺のわがままだ」
「へぇ……そうですか……よかったね。先生の推薦で……」
「いえ……」
なぜか距離を感じるたけしだった。

たいしとたけしは絵を描き始める。
わたるはたけしの後ろでたけしの絵を見ている。
「先生、僕の絵を見てください!」
「ん? あぁ、ちょっと待ってくれ。たいしくん」
わたる先生、たけしの絵を見て驚く。
「すごいな……たけし! さすが健太郎の弟子だ……」
「ありがとうございます……」
「だが、ここをこうした方がわかりやすく、目を引くかも……」
「すごい……その引き出しは僕にはありませんでした……」
たいし、二人の世界を見て、先生に絵を見てもらえず沈黙する。 武佐々美術大学の生徒たちが次々と入ってくる。
「先生、こんにちは」
「お、もうこんな時間か……」
わたる先生、黒板の前に立つ。
「みんな、揃ったな? では授業を始める」
生徒たち、わたる先生に挨拶をする。
「よろしくお願いします!」
緊張をするたけし。

りなは部屋で勉強をする。

たけし、わたる先生と授業をする。
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