一センチと一秒
「で?今日は何があったの?」
「うん?恭ちゃんとケンカ。」
・・・またか。
恭ちゃんというのは、私の兄で、美香の彼氏。
「何で。」
「デートで、ミニスカートの女の子見てたのよ。あたしには履くなって怒るくせに!」
はぁ・・・。毎度毎度、何でそんなんでケンカできるかな・・・。
「ねぇ美香ちゃん?兄ちゃんはさぁ、美香の脚を独り占めしたいのよ。ほかの男に見せるなんてもってのほかなんだって。」
「じゃあ、なんでほかの女の脚なんてみるのよ!あんなぶっといの!!!」
「じゃあ、ぶっとすぎて、びっくりしちゃったんじゃないの」
「もう!何でゆかはいっつもそうなの~?もっと親身になってよぉ!」
入れたてのココアを美香に渡しながら、もうひとつため息をつくと、
「今それどころじゃないのよ。」
と美香に告げた。