一センチと一秒


もちろん、彼や美香には今までにはなかったくらいいろんなことを話す。

そこまで信頼できる人たちだということだ。

でも、期待はしない。


期待をすることはばかげている。

だって、その期待が大きければ大きいほど、少しのことが大きな失望につながるから。


学生の頃こそ、みんなにいろんなことを打ち明けて、期待したりしてたけど、自分の気持ちをわかってくれないとか、私はこの子達と違うとか思えてきて、最後には『なんで私はここにいるの?』になってしまった。


少し大人になってわかったのは、期待をした私が間違っていたこと。

全てを人に任せた私の責任。



きっと私は人が思うほど強くない。

だから、自分の弱い部分や汚い部分を隠すのだろう。

自分を支えようとしてくれる人であればあるほど、失うのが怖くて、何もいえなくなってしまう。



美香は私の憧れだ。

素直に自分の気持ちを言葉にすることができる彼女が。

私にはとても愛しい存在だと思う。


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