一センチと一秒


彼の部屋の前で、一度身だしなみをチェックする。

チャイムを押そうとすると、すぐにドアが開いた。

「階段上る音が聞こえたから。またやってたんでしょう?」

中から見てたよ。そういって笑う彼。


「それでも、毎日最初はきちんとした私であなたに会いたいのよ。」

少しむくれながら部屋に入る私。



買い物袋を受け取ると、彼は驚いて、「わぁ、こんなに買ってきたの?ありがとう。」と苦笑い。


「やっぱり買いすぎたかな?」


しょんぼりして彼を見ると、ううん大丈夫と優しくなでてくれた。




< 30 / 38 >

この作品をシェア

pagetop