一センチと一秒
「・・・ご、めんなさい。」
私の口から出たのは、それだけだった。
「じゃあ、やっぱり・・・」
それだけは否定しなければ、そう思って必死に言葉を探した。
「それは・・・違う。」
少しの沈黙。
「わたしは・・・た、かしが好き。それだけは信じて・・・」
彼をひどく傷つけたショックで混乱していて、いつもより言葉がでてこない。
「ゆか・・・・・・ごめんな」
そういって私の頬に手を伸ばし、親指でなぞる彼。
気付けば私の目からは涙が一筋流れていた。