一センチと一秒


でも、いつもと同じように連絡が来たことに安心して、部屋に行ってもいいかと聞いたとき、彼はきっぱりと拒絶した。



『ゆか、逃げないで。もう少しちゃんと考えよう。俺も考えてるから。今のままじゃ、今までとかわらないだろ?』




彼が私に会いたくないわけじゃないというのはわかっていた。




だからこそ、私には何もいえなかった。



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