一センチと一秒
正直、しんどい。
彼と一緒にいた時間がぽっかり抜けてしまったから。
帰り道には今から帰るよと電話をしていたし、二日に1回は仕事が終わると彼の部屋に行っていた。
電話はしない。声を聞いたら弱音ばっかり吐いてしまうと思うから。
そしたら彼は、自分が望まなくても優しく私を迎え入れてくれると知っているから。
そんな今までの積み重ねが、習慣になっていたことが、すっぽり私の生活から抜けてしまったことが本当に辛かった。
忙しければ時間をつぶすのなんて簡単なのに、こういうときに限って仕事は暇だし、やりたいことも見つからない。
別れたときに辛いのって、この空いた時間に相手を思ってしまうからなんだと初めて気がついた。