一センチと一秒


外に出ると、暖かい部屋との温度差で肌が痛い。


かじかむ手で携帯を開いてメールを打つ。


『ごめん』


それだけ送って、ポケットに手を突っ込むと、上を向いて歩き出した。



いつも彼が送ってくれる道のりを一人で歩く。

「寒~い。」

呟くと、夜の冷たい空気に自分の声だけが響いて更に寂しくなる。


はぁ。

ため息は真っ白になって消えた。



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