好きな人♡
何度も春弥との最後の場面が頭を駆け巡る。

泣くしかないんだ。

鼻水もなぜか出る。

ずっと後悔しても、あの時の私はそうすることしか出来なかったんだから。

瑠依はバイトが終わってからも、私の部屋を訪ねてくれた。

走ってきた様子で息が荒い。

「ハァハァ―少しは落ち着いた?」

低い瑠依の声に安心する。

「これ」

無愛想に箱を渡してきた。

箱を開けると、

「あ、ハーツのプリン♡」

地元で美味しくて有名なスイーツ店で売ってる。

子供の頃からの大好物!

思わず顔がほころぶ。

「閉店間際だったから、ラスト一つだった」

瑠依も笑顔で言った。

「瑠依が食べて」

とても食欲なんかない。

胃が求めてない。

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