好きな人♡
HANABI
花火大会当日はすごい人が多くて、すれ違う人達はみなウキウキした表情だった。

疲れてそうな人もいたけど。 

樹と朋は、朋が告白したら絶対うまく行くと思うくらい、距離が近い。

朋が食べてるチョコバナナを、樹が

「一口ちょうだい」

「嫌だ、自分で買いなよ」

と言う朋。

「色んなの食べたいから」

と樹が粘っていた。

見ていて微笑ましい。

人が多くてネットも繋がりにくい。



――花火が打ち上がる。

大空に花が咲き火花が散っていく。

一発目には歓声があがった。

「キレイだね」
 
朋が言う。

反響して音が体中に伝わる。

「うん」

私は最後に瑠依と見た花火を思い出した。

人混みではぐれないように、汗ばんだ瑠依と手を繋いでいた。

あの頃はちょっと抵抗があった。でも一緒に笑顔だった。


今日はこの人混みじゃもう、一緒に見るのは無理かもしれない。仕方ない。

瑠依はバイト今ごろ頑張ってるんだろうな。

笑顔で接客しているのを見ると、バイトが好きなんだと思う。

スマホが鳴った―――

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