3分でわかる学校の不思議なウワサ
トイレの人食い花子さん
「朝香ー、帰るよ~」
「あ、うん……」
朝香は優菜に向かって元気なく頷くと、だまって優菜の後ろをついて行く。
その二人の後ろ姿を見ながらクラスメイト数人が顔を寄せ合って話している。
「なんで優菜ってあの陰キャの朝香とつるんでるんだろうね」
「さぁ、優菜の父親って警察官だっけ? 正義感ってやつ?」
「どうでもいいけどストレス溜まる~、放課後トイレで朝香いじめるのがストレス発散だったのに~」
「ほんとほんとつまんないの。帰ろ~」
そういうとクラスメイト達は教室をあとにした。
※※
「朝香、今日は更新の日だから、あそこ寄るね」
優菜の『更新』という言葉に朝香は頬をひきつらせた。
「さっさとついてきて」
「うん……」
優菜は朝香を連れて下足ホールではなく、人がほとんど立ち入らない北校舎の四階に向かっていく。
北校舎の四階には今は使われていない理科実験室と大昔に使用していたらしい生徒会室が残されているだけで、生徒も教師も滅多にこない。
朝香は優菜の隣で浮かない顔をしたまま黙ってついていく。
「朝香どうかした?」
「あのね……優菜ちゃん……」
「あ、わかった! もしかして~あのウワサ気にしてんの?」
「え? ウワサ?」
「うん、最近なんかよく聞くじゃん。トイレの人食い花子さん」