3分でわかる学校の不思議なウワサ
「あ……確かに……よく聞くね。お友達になったら食べられちゃう……とか」

「それそれ。食べられるってなにって話だけど」

優菜はケラケラ笑ってから朝香の顔をのぞき込んだ。

「浮かない顔してるから花子さんのことかと思ったけど?」

「あ、ううん……大丈夫……」

いつくらいからだっただろうか。
誰が言い出したのかわからないが、北校舎の四階にある女子トイレに花子さんが出るというウワサが出回っているのだ。どうも立ち入り禁止になっている旧校舎のある黒板に、学校にまつわる不思議なウワサ話が書かれているらしくそれが発端のようだ。

しかし朝香はそんなウワサを信じているワケではなく、別の理由で北校舎の四階の女子トイレに行くのが嫌だった。

「まぁ、あんなウワサ誰も信じないよね~。それより見てー、このスカートかわいいでしょ~」

階段を登りきればウワサの女子トイレが見えてくる。

「本当だね。すごく似合ってる」

「先月の契約金で買ったんだ~“友達契約”ってほんといいよね~」

「う、うん……」

「あたしは“友達契約”結ぶ代わりに、朝香をいじめから救ってあげたわけだし~。朝香からしたらいじめられなくなった上に、このあたしと友達にまでなれたんだからね」

そう数カ月前、朝香は偶然いじめ現場を目撃した優菜から“友達契約”を提案された。

優菜と一緒に過ごすようになってから警察官の父をもつ優菜のお陰で、朝香へのいじめはなくなった。

けれど──優菜と友達でいるためには対価が必要なのだ。
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