3分でわかる学校の不思議なウワサ
「うふふ、怖がらないで。お友達になってくれたら助けてあげるよ」

「え……どういう……意味?」

女の子は鏡の縁に両手をかけると鏡からグッと顔を突き出した。

鏡から花子の頭から首までが鏡から飛び出て、その異様な光景に朝香は恐怖で顔をひきつらせる。

「アタシならここからも出してあげれるし、いじめてた子たちにもやり返すこともできる。それにさっきの優菜って子からも守ってあげられる」

「……で、でも……」

「ここから出られなくてもいいの? 出れてもまたお金盗られちゃうよ~」

朝香は少し悩むように下唇を噛んだが、そっと口を開いた。

「あの、あなたと友達になったら、本当に助けてくれるの? お金いらない?」

「うっふふ。勿論。じゃあ友達成立~!」 

花子は三日月の目を更に糸のように細めると、ズルズルと朝香の方に向かって鏡から這い出してくる。

さっきまでは顔だけであまりわからなかったが、花子は白いブラウスに赤いスカートをはいていて身長は思ったよりも小さく小柄だ。

そして花子は四つん這いの状態からゆっくり立ち上がると、ニィッと笑って朝香の小指に自分の小指を絡ませた。

「な、に……?」

「約束だよ、ずっとアタシとだけ……だよ」

「え?」

花子の言葉尻だけ声が小さく朝香には届かなかった。

「ゆ~びきりげんまん。嘘ついたら~あさ……べる、指切った」

そして聞きなれたフレーズなのになぜだか、朝香には大事な箇所だけうまく聞き取れなかった。

「あの、花子……ちゃん、なんて言ったの?」

「約束だよ。ずうっと友達。よそ見しないで」

そう言って小さな顔に似合わず、大きな口をもつ花子がにっこり笑った。
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