3分でわかる学校の不思議なウワサ
「うっ……痛って……」

「雅紀! 大丈夫かよ」

雅紀は一瞬痛みから蹲ったが、すぐに上体を起こした。

「すみません! 雅紀先輩」

雅紀にボールをぶつけてしまった一年が頭を下げるのを見ながら、雅紀は顔の前で手を振った。

「あー大丈夫。ただちょっと腫れる前に冷やしてくるわ」

「俺も行こうか?」

雅紀のケガがたんこぶ程度だとわかった裕介が、いたずらっ子のような目を雅紀に向けた。

「ばぁか。例の女に会ったら、ブスって言ってやるから大丈夫だよっ」

「あはは、おっけ」

雅紀は裕介に手を振ると、保健室に向かった。


この学校はクラブ活動が盛んなだけあって、保健室には阿賀(あが)という女性の先生が十八時まで常駐している。

(十七時半だからまだいるよな)

雅紀は保健室の前にたどり着くとノックをする。
するとすぐに「どうぞ」と声が聞こえてきた。その時、雅紀は一瞬はっとした表情をする。

(あんな声だっけ?)

雅紀は首を捻ってから扉を開けた。

「失礼します」

雅紀が保健室にはいると、阿賀が椅子に腰かけたまま振り返った。
年齢は二十代後半で長い黒髪に切れ長の目をした和風美人だ。

「あらケガ? 大丈夫?」

「あー……ちょっとボールが当たったんで冷やすもの貸してくれませんか?」

「それは大変ね、先に診せてくれる?」
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