君が私を見つけてくれた。

初恋、失恋

「きゃー♡!!」

私天川ゆいの朝は、というか。

この学校の朝はこの悲鳴の様な声から始まる。

コツコツと上靴を鳴らして廊下を歩いているの
は、詩音拓斗。この学校の二大イケメンの一人。

「おはよう。」

にこっとアイドルスマイルを浮かべた彼に、

ドキッ。

胸がキュッとなる。

「キャ〜♡!」

他の女子からも悲鳴ににた黄色い声があがる。

「うるさい」

詩音君の隣から不機嫌そうな声が聞こえた。

ひぃ~。怖い!

これまた二大イケメンのもう片方の佐竹悠河。

彼は愛想を振りまく詩音君と正反対なクールで無愛想な性格。

なのにイケメンなせいで、

「わー!今日もクール♡かっこいい!」

と、なぜか人気である。

私は怖そうなので凄く苦手。

けど詩音君は優しそうなので怖いとは感じない。

実は恋愛感情を抱いてたり…


なのに、詩音くんは、違うクラス。

悠河くんは入学してから同じクラスなんだよ。

近づくたびにヒヤッとするけど未だに話したことはない。


「ゆーい!」

肩を叩かれ我に返る。

あ、ゆずだ。

ゆずは、こんな私でも仲良くしてくれる友達。

「おはよ!」

「今日もツートップは人気だねぇ。」

話しながら歩みを進める。

ゆずは他校に彼氏がいるから詩音くんたちには見向きもしない。

幼馴染と付き合ってるんだって。

教室に着くと

重いカバンを机に下ろす。

教科書も入っているんだけど、本が3冊くらい入っている。

読みきれなくても手元にあるだけで安心するんだ。

今日も本を開く。

読みかけの感動系小説だ。

キーンコンーンカーンコーン…

本の世界に浸っているといつの間にか時間が経っちゃうんだよな…



「ねえ。」

そして放課後。

「ああっ!ごめん。」

ゆずの友達に混じらせてもらって話をしていたんだけど、ボーッとしてしまった。

「もー。ゆいは相変わらずだな〜」

とゆずに言われた。

面目ない。

「…んでさーツートップのどっちが好き?」

急に話題が飛んできた。

唐突だ。

「私流河!」

「わたしもー!」

グループの二人がはしゃいでいった。

「私は…どっちも話したことない…か、な。」

どうか詩音くんのことが好きなことがバレませんように。

「まーそっか。やっぱゆいだもんねーー。」

ん?ちょっと失礼なことを言われた気もしたけどスルーした。

「あの…」

グループではおとなしめな奈々が話を切り出した。

「私、詩音君がほんとに好きで、こっ、告白…す、る。からさ。だれか、付き添い、ってか、一緒に来てほしい。」

しどろもどろになりながらも言い切った。

うっ。ズキリ。友達と好きな人が被ると気まずい。

「あの…好きな人いないなら、ゆい。一緒に来てくれない?」
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