チャリパイ11~時をかける森永探偵事務所~

そんな凪の肩を、ポンと叩き…シチローが言った。


「ちょっと油断しちゃったから♪…でも凪、まだ作戦はあるから♪」


「えっ?…作戦?」


信じられないといった表情の凪に、シチローは腫れあがった顔でニッコリと笑いかけた。


「まだ勝負は終わってないよ!さあ、第2ラウンドが始まる。セコンドアウトだ」


そう言って、椅子から立ち上がるシチローを、凪は呆気にとられて見ていた。


「あれだけ一方的にやられてるのに…
ねぇ、ティダ…作戦って一体何なの?」


凪は、格闘技の心得があるてぃーだにその真意を尋ねてみるが…


てぃーだは両手を肩先で広げて首を傾げた。


「さぁ、アタシには…
ただひとつ判っているのは…
シチローって根っからの『負けず嫌い』って事位かしら…」


「負けず嫌いって…
そんな事で…」



そして、そんな2人の心配をよそに第2ラウンドのゴングは無情にも鳴り響くのだった。



カァーーン!



< 110 / 211 >

この作品をシェア

pagetop