チャリパイ11~時をかける森永探偵事務所~
抜き足。差し足。忍び足…
自分達が近付いている事を『mother』に察知されないように、足音を忍ばせて、そろり、そろりと注意深く歩いてゆく子豚とひろき。
時折、モニターに映し出されているmotherの顔の表情を伺いながら、少しずつ歩みを進める。
「大丈夫…まだ気付かれてないわ…
いい?ひろき、あの床の線まで行ったらあとは
一気に走るわよ!」
「わかった!上手くいくといいね♪コブちゃん♪」
「上手くいくわよ!
主役の私が失敗する訳ないでしょ!」
motherと子豚達の距離は、約10メートル。
二人共まるで、部屋で見つけたゴキブリでも退治する時のように、息を潜めていた。
9メートル
8メートル
7メートル
6メートル
5メートル…
「今よ!ひろき!」
「やあぁぁぁ~~っ!」
パイプ椅子とビール瓶を振りかざし、子豚とひろきが『mother』めがけてまっしぐらに走る!
「アンタもこれで終わりよおぉぉ~~~!」
ボヨヨヨヨヨ~~ン!
「なによ~これ~~!」
子豚達が思い切り振り下ろしたパイプ椅子とビール瓶は、motherの周りに張り巡らされた透明の弾力のあるバリアに、あっさりと弾き返されてしまった。
「やっぱり、ボケキャラには無理だったね…コブちゃん…」
子豚とひろきの奇襲作戦は、失敗に終わった。
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