チャリパイ11~時をかける森永探偵事務所~

抜き足。差し足。忍び足…


自分達が近付いている事を『mother』に察知されないように、足音を忍ばせて、そろり、そろりと注意深く歩いてゆく子豚とひろき。


時折、モニターに映し出されているmotherの顔の表情を伺いながら、少しずつ歩みを進める。


「大丈夫…まだ気付かれてないわ…
いい?ひろき、あの床の線まで行ったらあとは
一気に走るわよ!」


「わかった!上手くいくといいね♪コブちゃん♪」


「上手くいくわよ!
主役の私が失敗する訳ないでしょ!」


motherと子豚達の距離は、約10メートル。
二人共まるで、部屋で見つけたゴキブリでも退治する時のように、息を潜めていた。


9メートル


8メートル


7メートル


6メートル


5メートル…


「今よ!ひろき!」


「やあぁぁぁ~~っ!」


パイプ椅子とビール瓶を振りかざし、子豚とひろきが『mother』めがけてまっしぐらに走る!



「アンタもこれで終わりよおぉぉ~~~!」















ボヨヨヨヨヨ~~ン!




「なによ~これ~~!」



子豚達が思い切り振り下ろしたパイプ椅子とビール瓶は、motherの周りに張り巡らされた透明の弾力のあるバリアに、あっさりと弾き返されてしまった。


「やっぱり、ボケキャラには無理だったね…コブちゃん…」


子豚とひろきの奇襲作戦は、失敗に終わった。


< 123 / 211 >

この作品をシェア

pagetop