チャリパイ11~時をかける森永探偵事務所~

「わああぁぁぁ~っ!
…耳元でそんな大きな声出さんでも聞こえとるわっ!」


老人が、たまらず耳を塞いでしゃがみ込んだ。


「耳が聞こえない訳では無い。そなたの言っている言葉の意味が解らんのじゃよ」


老人にそう言われたシチローは、思わずこんな
失言をしてしまう。



「言葉が解らないって…お爺さん、ボケてるの?」


「なっ!なんという事を!」


老人の脇にいた男が
驚いた顔をしてシチローの前に歩み寄った。


「今の言葉は聞き捨てならん!お前達!ここにおわす方をどなたと心得る!」


いきり立つその男を、老人は穏やかになだめようとするが…


「まぁまぁ、格さん。
そんなにムキにならんでも…」


「いいえ!ご隠居。
いくら何でもご隠居に向かって『惚けている』とは、この上無い暴言!
許しておく訳には参りません!」


そんな老人と男のやり取りを聞いていたシチロー達は、その会話に出てくる名前に、ある可能性を感じ始めていた。


「最初にコブちゃんとぶつかったのが『八平』…そして、この二人が『ご隠居』に『格さん』……って事は…まさか…」


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