チャリパイ11~時をかける森永探偵事務所~

「さあ~♪御隠居、出番ですよ♪」


そういうとシチローは、光圀の方を向いてニッコリと微笑んだ。


「うむ♪では、格さん、そろそろ良いでしょう♪」


謀反の証拠である鉄砲も出揃い、この先は水戸の御一行の独壇場となるに違いない。


上機嫌の光圀に促されて、印籠提示役の格さんが自分の懐に手を入れながら声を上げた。


「ええ~い!皆の者!
静まれ~静まれ~!」


いよいよ水戸黄門、最大の見せ場!









と、その時だった。










「おう~おう~おう~!とうとう尻尾を出しやがったな!てめぇら!」


格さんが、懐からいざ印籠を出そうとしたその瞬間に、人夫の間を掻き分けて、突然1人の男が乱入して来た。


「やい!越後屋!てめぇらの悪事、この金さんの桜吹雪がしっかりと見届けたぜ!」





そう言って諸肌を脱ぐ男の背中には、見事な桜吹雪の入れ墨が……



「ええ~っ!もしかして遠山の金さん!」



驚きであんぐりと口を開ける、チャリパイの面々。



そして




「チッ…」





最大の見せ場を邪魔され、苦虫を噛み潰したような顔で舌打ちをする光圀だった。


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