チャリパイ11~時をかける森永探偵事務所~

気前が良くて二枚目で、ちょいとやくざな遠山桜。







金さんの登場で、もはや完全に主役は入れ替わってしまった。


TVの時代劇であれば、これから金さんが悪人相手に大暴れした後に、奉行所の役人が悪代官達を制圧……そして、いつの間にか姿を消していた金さんが『御しらす』の場で再び桜吹雪を咲かす事となるのだが……


「ええ~い!お前達!
そんな得体の知れない
やくざ者など、ひっ捕まえて海にでも捨ててしまえ!」


悪人達も黙ってやられる訳にはいかない。


越後屋の号令で、人夫の姿をした屈強な部下達が一斉に金さんに向かって掴みかかっていった。


そんな部下達を金さんは身軽に交わし、千切っては投げ、千切っては投げ……






……のはずが……







「ちょっと!……なんか金さん、ピンチなんじゃないの?」


そう、子豚がてぃーだに囁くように、実際にはどう見ても逃げ回っているようにしか見えない金さん。


「てめぇ!散々啖呵切っておいて、逃げ回ってんじゃね~よっ!」


「うるさいっ!こっちは1人だぞ!お前達大勢で卑怯じゃないか!」




悪人相手に、卑怯も何も無いもんだ……


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