チャリパイ11~時をかける森永探偵事務所~
江戸城の最上階、一際
豪華な造りの奥の広間。
その襖に手を掛けながら、光圀は神妙な表情で
シチロー達の方へと振り返った。
「良いですかな。
上様は、皆が揃った後にお見えになられる筈じゃ……この広間に入ったら、正座して頭を下げて待っているように!」
「ハ~~~イ♪」
金箔に飾られた襖や屏風の数々。
五人では広すぎるその広間の中央に、光圀を左端に横一列に並んだチャリパイの面々は、それぞれ緊張の面持ちで畳に膝をつける。
そしてしばしの沈黙があった後、城の者の甲高い声が聞こえた。
「上様の、おなぁ~り~~~~っ!」
頭を畳に付くほどに平伏しているシチロー達には見えないが、今、確かに襖の開く音がして誰かがこの広間に入って来たようだ。
「その方達、話は全て
光圀から聞いておる。
苦しゅうない、面を上げい♪」
その声の主は紛れもない将軍である。頭のてっぺんから聞こえるその声に合わせ、五人はゆっくりと頭を上げ、その顔を見た。
「アイ~~~ン♪」
(・・バカ殿・・・・・・)
.