チャリパイ11~時をかける森永探偵事務所~

問題に正解しないとドアが開かないという、まるで嫌がらせの様な『儀式』を終えて、ようやく6人は車の席に着いた。


約束通り運転席に座り、さぁ車を動かそうとしたシチローだが、この車…なんとハンドルが付いて無いではないか!


「なんだよこれ?…コレじゃ運転出来ないじゃん…」


計器のたくさん付いた運転席に座ったものの、訳が解らず戸惑っているシチローに、後ろから凪が笑って教えてくれた。


「シチロー♪これはね、『AT車』だから全て自動で運転してくれるのよ♪ドライバーは、ナビに目的地をインプットするだけ♪」


この時代の自動車は、その名の通り自動で人間を目的地へと運ぶ車にまで進化していた。


運転者が自分でハンドルを握り運転するタイプの車は、もはや一部のマニアに『スポーツカー』として乗られているだけに過ぎなかった。


「ちぇっ…それで『バカでも運転出来る』なんて言ってたのか…」


不満そうに口を尖らせるシチロー。


「まあ~そういう事♪
でもね、この車なら運転者も車の中でお酒だって飲めるし、昼寝だって出来るのよ♪」


なるほど、これなら飲酒運転も安全上なにも問題無いって訳だ。


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