チャリパイ11~時をかける森永探偵事務所~
暫くの間、黙って腕組みをしながらT9000の場違いな曲芸を見物していたシチローが、隣の4人の方を向いてこう切り出した。
「まぁ~その…なんだ…ここはとりあえず……
……逃げよう!」
いきなりの敵前逃亡宣言に、思わずズッコケそうになる4人。
「ええ~~っ!戦うんじゃないの?シチロー?」
「バカ言うなよ!
あんな怪力に勝てるかっ!」
いきなり敵前逃亡とは何とも情けないが、確かにここは逃げるのが得策と言えるかもしれない。
「凪!メルモさんに車出してもらって!」
シチローの言葉に従って、凪は研究所のメルモに電話で車を注文した。
「メルモさん!こっちに車1台お願い!」
『は~い了解♪』
その約5秒後、突如として目の前に現れたのは…なぜか、20世紀のかなり使い古されたタクシーだった。
「何でタクシーなんだよ…メルモさん、どういうセンスしてるんだ?」
シチロー達が乗り込んでキーを回すと、“バスン、バスン”と頼りない音をさせながらエンジンが始動した。
「大丈夫かよ…この車…」
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